仰ぐ日輪:BEARSのフットボール


飛田 康裕:監督
私は富山県生まれで、上京するまではアメリカンフットボールを見たことすらありませんでした。この競技に間近に接するようになったのは、BEARSの部長に着任してはじめてです。暫くはアメリカンフットボールのことがよく分かりませんでしたが、時が経つにつれ、見えてきたアメリカンフットボールの魅力があります。それは、選手の特性を見極め、適材適所の戦術を練り、チーム一丸で試合に臨むことで、長所の相乗効果や短所の補い合いにより、独りでは為し遂げられなかったであろう大きな成果を達成することができることです。よって、選手の中には、体格に恵まれていなかったり、足が遅かったりと、様々な人がいますが、それぞれの資質を生かしてプレーで活躍しています。体験するまでは、体力や能力に不安に感じるかもしれませんが、体験すれば、努力が実になる楽しいスポーツであることが分かると思います。
アメリカンフットボールは、激しくぶつかり合う非常に危険なスポーツとの印象をお持ちのことと思います。それは、誤りではありません。しかし、BEARSでは、怪我を回避し安全に競技を楽しむために、十分なトレーニングを行っています。我がBEARSでは、専門知識と豊かな経験を備えたコーチが、このトレーニングの指導にあたっています。選手たちの特性に合わせて、科学的なトレーニングを組み立て、より効果が高まるように、じかに選手を指導しています。また、BEARSの特徴の一つは、チーム専属のトレーナーが常に帯同していることです。試合の折には勿論のこと、普段の練習においても、トレーナーが選手たちに寄り添い、選手ひとりひとりの安全管理に努めています。このことから、BEARSでは、トレーナーが不在のまま、練習を実施することは決してありません。色々と懸念もおありかと思いますが、実際に練習の風景や試合の様子を御覧になれば、アメリカンフットボールがご想像のような危険なスポーツでないことがお分かりいただけると思います


國元 孝臣:ヘッドコーチ
・1989年 早大学院BEARSに入部。ワイドレシーバー
として活躍し、3年時クリスマスボール準優勝
・1992年 早稲田大学BIG BEARSにてWRとして活躍
・1996年 東海銀行にてWRとして活躍
・2009年 ワセダクラブヘッドコーチ(小学生)
・2014年 ワセダクラブヘッドコーチ(中学生)
・2018年 早大学院(アシスタントヘッドコーチ・
オフェンスコーディネーター)
・2022年 早大学院(ヘッドコーチ)
・2023年10月1日 日本スポーツ協会公認指導者認定
※2015年 早稲田大学米式蹴球部バックオフィスコーチ兼務(現任)
弊部は早大学院の中でも稀な、常に日本一を目指して活動しております。 早大学院の魅力は何と言っても自由な校風です。
自由というのは責任が伴います。やるかやらないかは全て自分次第です。 弊部においても同様です。活動全般は、部員主導で実施するようにしており、 次のようなことを大切に活動しております。 それは「日本一に相応しい人物およびチームになる」ということです。 日本一になるために日々努力を続け、考えて行動できる自主独立の精神をもった人材となること。 BEARSの最終目標は、日本一。 日本一に相応しいチームの一員として、ひとりひとりが、何をすべきかを自分で考え自主的に行動し、人として成長することです。
□ 新入生の皆さんへ
アメリカンフットボールには様々なポジションがあり、選手交代も自由なスポーツです。 従って、個性を活かすことができます。 部員はほとんどが高校からアメリカンフットボールを始めた者ばかりです。 私たちと充実した高校生活を送り、青春を謳歌しましょう。
□保護者の皆さんへ
アメリカンフットボールはコンタクトスポーツです。 怪我のご心配があろうかと思います。 弊部では、安全面に配慮し指導をしており、高校の部活では珍しく、常にトレーナーが帯同しております。

1949年に創部された早稲田学院BEARSの第3代OB会長として5期10年務めさせていただいている前里慶一です。
振り返るとこの10年いろいろなことがありました。クリスマスボウルを4連覇した最後の年にOB会長に就任しました。私のように学院、学部と継続してフットボール部に所属しますと、どうしても見方が学部寄りになってしまいがちです。そこで、学院BEARSオンリーOBの気持ちを知りたいと思い、あえて自分の中で学部と学院を切り離し、学院BEARSだけに集中することにしました。またチームにとってはなくてはならない存在の父母会の父母の気持ちを理解しようとも努力しました。そして、選手は高校生でもあるため余計に強く感じますが、部活は教育の一環であることを常に忘れないようにしています。一OBとしては勝ち負けにだけ目が行きがちですが、それにこだわり過ぎると「人を育てる」「成長を促す、見守る」という大事なことを見落としがちになります。父母の気持ちになると選手の怪我がプレーより気になったりします。単に戦力外ではなく、怪我の程度や将来の支障が心配になります。

前里 慶一:OB会長
この10年クリスマスボウル4連覇から、その後の連続決勝敗退、関東大会進出なるかどうかという当然のような下り坂もありました。なんといってもコロナ禍いう大逆風にもさらされました。そして今思うことは、早稲田大学高等学院米式蹴球部創部以来脈々と続く伝統は健在であり、関東大会レベルは維持し、これから飛躍を開始する学院BEARSの未来が輝いているということです。我々は、「勝ち負け」に拘りたいと思います。勝利を目指すことにより日々の鍛錬と試合を通じて少年は大人へと成長します。父母の皆様は選手と共に日々青春を送って頂くことになるでしょう。学院生諸君には、究極のスポーツと言われるアメリカンフットボールを自分の人間形成の礎として貰いたいと願います。野球でもサッカーでもラグビーでもありません。その全ての要素をとり入れて出来上がったのがアメリカンフットボールです。怪我に配慮し、完全装備で毎プレー全てセットプレーで戦略を駆使して1ヤードでも多くゲインする。そして、攻撃、防御全選手が毎プレーぶつかり合う格闘技です。将来、野球界における野茂、イチロー、大谷のように、本場アメリカNFLで活躍する日本選手が早稲田から出てくることを私は夢見ています。
私は、現在でも外資系リサーチコンサルティング会社の一営業として頑張っています。その私の基盤は早稲田フットボールで培った知力、気力、体力です。早稲田フットボールは最高です!

1970年春の早慶戦より #66が主将の前里会長

1974年大学での春の早慶戦より #22が前里会長


白田 陽一:父母会長
父母の会々長を務めます白田陽一です。今年の新3年生たちが入部した2021年という年は、コロナ禍1年が経過したばかりで、これからまだ何が起きるのか、世の中どうなるのかといった不安が暗雲とともに立ち込め、特に高校の運動部という活動がどこまでできるのか、練習、試合、勧誘、ミーティング等々全て手探りで進めざるを得ない年でした。その中でも学院Bearsは、その年のチーム幹部が中心となりチームを纏め、部の伝統継承の歩みを止めないどころか、自らをさらに進化させるべく粘り強く努力と工夫を重ね、秋の全国高校アメリカンフットボール選手権関東地区決勝にコマを進めるまでに成長。その年最初で最後の有観客試合となった富士通川崎スタジアム開催の同決勝は、目標に向かって一心に努力を続けてきた選手たちの一年間の熱い思いが全て凝縮されたもので、学院Bearsらしい魂のこもった試合を正に目前で展開。惜しくも試合結果は敗戦となりましたが、たとえ戦況劣勢になっても心折れることなく、勇敢に戦い続けた姿は我々大人達の心を強く揺さぶるものでした。
学院Bearsの活動は、選手達の自主性をその活動の根幹に置きつつ、顧問の先生方のご指導、豊富な実践経験と知見を携えたコーチングスタッフの皆様、安全に運動を行うための技術対応・指導を担うトレーナーの方々、幾重にも連なるOBの皆様のネットワーク、それらアメリカンフットボールを安全にチーム活動として行うにはどれ一つ欠けてならないものが、すべて整っていると言って良い環境にあると思います。
高校3年間は長いようで短い期間ですが、一つのことに熱中し没頭するには十分な時間があり、また寝食を忘れ仲間とともに一つの目標達成に向け最大の努力を続けることは、仲間・友との絆を深めるのみならず、その後のそれぞれの人生における全人格的成長に繋がる大変貴重な試みだと思っております。父母の会としても、今後もそうした活動を全面的に支援して参りたいと思います。